推薦文 立正大学 坂輪 宣敬 教授

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長谷川等伯 ヒヅメ アート事業部 HOME > 推薦文 立正大学 坂輪 宣敬 教授

「長谷川等伯法華信仰の世界」復刻によせて

桃山画壇の巨匠長谷川等伯は、はじめ北陸地方を活躍の舞台に、仏絵師として出発した。
そのことは高岡大法寺に格護され、平成九年に国の重要文化財に指定された等伯(若年の画名信春)筆の四幅の画幅によっても明らかであろう。

大法寺の五幅対は、お題目の幅(これは等伯の筆ではなく、信仰上の幅なので重文には指定されない)を中央に、
写真の通り等伯筆の四幅を併せて構成されている。この五幅対は、日蓮宗寺院に安置される諸尊を画幅をもって
あらわしたもので、五幅一具をもって本尊とし、仏の世界の具現化を構想している。

等伯筆の大法寺のこの四幅の画中には、「長谷川又四郎」「長谷川・藤原信春」などの落款や印記は、
京都本山本法寺に所蔵される日尭上人画像や大浬槃図裏書、塔頭寺院の過去帳の記述などと相まって、
長谷川信春イコール長谷川等伯説を裏付ける貴重な資料となったのである。
四幅の画幅はそのように学術的に大変基調であるが、絵としてもすぐれている。
描線も賦彩に重厚・精密で、絵の具の質も良い。

この四幅の仏画が等伯にとって、後に京都において開花させていく法華信仰のいわば原点になるものといえよう。
四幅の中では日蓮聖人像の完成度が高い。聖人敬慕の思いのこめられたこの画幅は、等伯後年の肖像画への展開の
基礎的な立場を示すとともに、聖人画像の一つの典型となるもの(私はこの種の聖人画像を「大法寺画像の系統」
とよんだ)であろう。

今般代大法寺では立教開宗七百五十年の記念事業として、五幅対の復刻公開を企画しているという。
信仰面からも美術面からもともにすぐれた、桃山時代の法華文化の枠を目睹する良い機会と思い、
文化財公開の点からもこれを強く推薦ものである。

立正大学教授 坂輪 宣敬

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